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インプラントと天然歯の違いとは?メンテナンス方法の違いも解説
インプラント治療を検討されている方や、すでにインプラントをお持ちの方から、「インプラントは天然の歯と何が違うのですか?」というご質問をいただくことがあります。見た目や機能は天然歯に近いインプラントですが、構造やメンテナンス方法には重要な違いがあります。
本記事では、インプラントと天然歯の構造的な違いから、日常のケア方法、定期検診の重要性まで、詳しく解説いたします。この違いを理解することで、インプラントを長く健康に保つための適切なケアができるようになります。
目次
- インプラントと天然歯の基本的な構造の違い
- 機能面での違いと特徴
- インプラントと天然歯で異なるリスク
- 日常のメンテナンス方法の違い
- 定期検診で確認される項目の違い
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
1.インプラントと天然歯の基本的な構造の違い

インプラントと天然歯は、一見すると同じように見えますが、その構造には大きな違いがあります。この違いを理解することが、適切なケアの第一歩となります。
天然歯の構造
天然歯は、目に見える「歯冠部」と、歯茎の中に埋まっている「歯根部」から構成されています。歯根は顎の骨に直接くっついているわけではなく、「歯根膜」という薄い膜を介して骨とつながっています。
この歯根膜は、とても重要な役割を果たしています。まるでクッションのように、噛む力を和らげて骨に伝える働きがあります。また、噛んだときの感覚を脳に伝える神経も含まれており、「硬いものを噛んでいる」「柔らかいものを食べている」といった感覚を感じることができるのです。
さらに、歯と歯茎の境目には、細菌の侵入を防ぐバリアのような構造があり、歯周病から歯を守る役割も担っています。
インプラントの構造
インプラントは、主に3つの部分から構成されています。
インプラント体(人工歯根) チタン製のネジのような形をした部分で、顎の骨に直接埋め込まれます。チタンは骨と結合する性質があり、時間をかけてしっかりと骨と一体化します。
アバットメント(支台部) インプラント体と被せ物をつなぐ部分です。歯茎を貫通する形で設置されます。
上部構造(被せ物) 実際に目に見える歯の部分で、セラミックなどの材料で作られます。
天然歯と最も大きく異なる点は、インプラントには歯根膜がないということです。インプラント体は骨と直接結合しているため、クッションがなく、噛む力がダイレクトに骨に伝わります。また、噛んだときの繊細な感覚も、天然歯ほどは感じにくくなります。
歯茎との接合部の違い
天然歯の周りには、歯茎がぴったりと密着し、強固なバリアを形成しています。一方、インプラントと歯茎の結合は、天然歯ほど強固ではありません。
例えるなら、天然歯はジッパーのようにしっかりと閉まっているのに対し、インプラントはボタンのようにやや隙間がある状態です。この構造的な違いが、メンテナンスの重要性につながります。
2.機能面での違いと特徴

構造の違いは、日常の使用感にも影響を与えます。
噛む感覚の違い
天然歯には歯根膜があるため、噛んだときの感覚を繊細に感じ取ることができます。硬い食べ物を噛んだときには「これ以上強く噛むと歯が傷む」という感覚が脳に伝わり、無意識のうちに力を調整しています。
インプラントの場合、この感覚がやや鈍くなります。そのため、最初は「しっかり噛めているのかわからない」と感じる方もいらっしゃいます。ただし、多くの方は使用しているうちに慣れ、周囲の歯や顎の骨からの感覚で、十分に食事を楽しめるようになります。
動きの違い
天然歯は、歯根膜のクッション作用により、ごくわずかに動きます。この動きは通常感じることはありませんが、強い力がかかったときに歯を守る役割を果たしています。
一方、インプラントは骨としっかり結合しているため、ほとんど動きません。この固定性の高さは、しっかりと噛めるというメリットにつながりますが、過度な力がかかった場合には、その力が骨やインプラント本体に直接伝わることにもなります。
耐久性の違い
適切にケアされた天然歯は、一生涯使い続けることができます。一方、インプラントの寿命は、研究によると10年生存率が90%以上とされています。つまり、適切なメンテナンスを行えば、多くのインプラントが10年以上機能し続けるということです。
ただし、これはあくまでも平均的な数値であり、日々のケアや定期検診の受診状況によって大きく変わります。中には20年、30年と長期間使用されている方もいらっしゃいます。
3.インプラントと天然歯で異なるリスク

インプラントと天然歯では、注意すべきリスクも異なります。
天然歯のリスク
虫歯 天然歯の最大のリスクは虫歯です。歯は酸によって溶かされ、虫歯になります。一度虫歯になると、自然に治ることはありません。
歯周病 歯を支える骨が溶けてしまう病気で、日本人が歯を失う最大の原因とされています。進行すると歯がグラグラになり、最終的には抜けてしまいます。
インプラントのリスク
インプラント周囲炎 インプラントは虫歯にはなりませんが、歯周病に似た「インプラント周囲炎」というトラブルが起こることがあります。
インプラント周囲炎は、インプラントの周りの歯茎や骨に炎症が起こる状態です。歯周病と同様に、細菌感染が原因で起こります。放置すると、インプラントを支える骨が溶けてしまい、最終的にはインプラントが脱落する可能性があります。
実は、インプラント周囲炎は歯周病よりも進行が速いとされています。これは、前述したように、インプラントと歯茎の結合が天然歯ほど強固でないため、細菌が侵入しやすいためです。
破損のリスク インプラントの被せ物は、セラミックなどの硬い材料で作られていますが、強い衝撃や過度な力がかかると、欠けたり割れたりすることがあります。特に、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は注意が必要です。
4.日常のメンテナンス方法の違い

インプラントと天然歯では、基本的なケアの目的は同じですが、気をつけるポイントに違いがあります。
天然歯のケア方法
歯磨き 1日2回以上、フッ素入りの歯磨き粉を使用して、丁寧に磨きます。歯と歯茎の境目、歯と歯の間を特に意識してケアします。
デンタルフロスや歯間ブラシ 歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは60%程度しか取れないとされています。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、90%以上の汚れを除去できます。
インプラントのケア方法
インプラントも、基本的には天然歯と同じように歯磨きとデンタルフロス・歯間ブラシを使用します。ただし、いくつかの注意点があります。
より丁寧なブラッシング インプラントと歯茎の境目は、天然歯よりも細菌が侵入しやすいため、この部分を特に丁寧にケアする必要があります。柔らかめの歯ブラシを使用し、優しく、しかし確実に汚れを取り除きます。
適切な清掃用具の選択 インプラント専用の歯間ブラシやデンタルフロスも市販されています。通常のものでも問題ありませんが、インプラント周囲を傷つけないよう、硬すぎないものを選ぶことが推奨されます。
金属製の歯間ブラシは、インプラント体を傷つける可能性があるため、避けた方が良いでしょう。
ウォーターピックの活用 水流で汚れを洗い流すウォーターピック(口腔洗浄器)も、インプラントのケアに有効です。特に、インプラントと歯茎の境目や、複雑な形状の部分の清掃に役立ちます。
研磨剤の使用に注意 強い研磨剤入りの歯磨き粉は、インプラントの被せ物の表面を傷つけることがあります。低研磨性の歯磨き粉を選ぶか、歯科医院で相談して適切なものを使用しましょう。
共通して重要なこと
インプラントにも天然歯にも共通して言えることは、「毎日のセルフケアが最も重要」ということです。どんなに定期検診に通っていても、日々のケアが不十分であれば、トラブルのリスクは高まります。
1日3回の食後に歯を磨くことが理想的ですが、難しい場合でも、朝と寝る前の2回は必ず行いましょう。特に就寝前のケアは重要です。寝ている間は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなるためです。
5.定期検診で確認される項目の違い

インプラントと天然歯では、定期検診で確認される項目にも違いがあります。
天然歯の定期検診
虫歯のチェック 視診やレントゲンで、虫歯がないか確認します。初期の虫歯であれば、フッ素塗布などで進行を止められることもあります。
歯周病のチェック 歯周ポケット(歯と歯茎の間の溝)の深さを測定し、出血の有無を確認します。歯周病の進行度を評価し、必要に応じて歯石除去などの処置を行います。
噛み合わせのチェック 噛み合わせのバランスが崩れていないか確認します。
インプラントの定期検診
インプラント周囲炎のチェック インプラント周囲の歯茎の状態を詳しく確認します。炎症の有無、出血の有無、歯周ポケットの深さなどを測定します。
骨の状態の確認 レントゲン検査で、インプラントを支える骨が減っていないか確認します。骨の減少は、インプラント周囲炎の進行を示すサインとなります。
インプラント体の安定性チェック インプラントがしっかりと固定されているか、動揺がないかを確認します。
被せ物の状態確認 被せ物に欠けやヒビがないか、ネジの緩みがないかを確認します。必要に応じて、ネジの締め直しや被せ物の調整を行います。
噛み合わせの確認 インプラントに過度な力がかかっていないか、噛み合わせのバランスをチェックします。天然歯には歯根膜のクッションがありますが、インプラントにはないため、噛み合わせの調整がより重要になります。
定期検診の頻度
天然歯の定期検診は、一般的に3~6ヶ月に1回が推奨されます。インプラントの場合も同様ですが、状態によっては、より頻繁な検診が必要になることもあります。
特にインプラント治療後の1~2年は、トラブルが起きやすい時期とされているため、3ヶ月に1回程度の検診が推奨されることが多いです。
6.よくある質問(Q&A)

Q1:インプラントは天然歯より弱いのですか?
インプラント自体の強度は非常に高く、適切にケアすれば天然歯と同じように機能します。ただし、構造的な違いから、細菌感染に対しては天然歯よりも注意が必要です。日々のケアと定期検診を怠らなければ、長期間にわたって使用できます。
Q2:インプラントにも歯周病は起こりますか?
インプラント自体は虫歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」という歯周病に似た状態になることがあります。症状も歯周病と似ており、歯茎の腫れ、出血、骨の吸収などが起こります。予防方法も歯周病と同様で、日々のケアと定期検診が重要です。
Q3:インプラントのケアに特別な道具は必要ですか?
基本的には、通常の歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシで十分です。ただし、インプラント専用の清掃用具を使用すると、より効果的にケアできる場合もあります。歯科医院で、ご自身に合った清掃用具を相談されることをおすすめします。
Q4:インプラントがあると、MRI検査は受けられませんか?
インプラントに使用されるチタンは、MRI検査に影響を与えない材料です。したがって、インプラントがあってもMRI検査は問題なく受けられます。ただし、一部の古い種類のインプラントや、磁石を使用したアタッチメントがある場合は、事前に医師に伝える必要があります。
Q5:インプラントのメンテナンスを怠るとどうなりますか?
メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎が進行し、インプラントを支える骨が溶けてしまいます。最終的には、インプラントが脱落する可能性があります。また、一度進行したインプラント周囲炎は、治療が困難なことも多いため、予防が何よりも重要です。
Q6:天然歯とインプラントが混在している場合、どちらを優先してケアすべきですか?
両方とも等しく大切にケアする必要があります。インプラントも天然歯も、毎日のブラッシングとデンタルフロス・歯間ブラシでのケアが基本です。どちらか一方だけを重点的にケアするのではなく、口腔内全体を丁寧にケアすることが、長期的な健康につながります。
7.まとめ
インプラントと天然歯は、見た目や機能は似ていますが、構造やケア方法には重要な違いがあります。
最も大きな違いは、天然歯には歯根膜があり、インプラントにはないという点です。この違いが、噛む感覚や細菌に対する抵抗力に影響を与えます。特に、インプラントは歯周病に似た「インプラント周囲炎」のリスクがあり、予防のためのケアが非常に重要です。
日常のケアでは、インプラントも天然歯も基本的には同じ方法でケアできますが、インプラントと歯茎の境目をより丁寧にケアすること、適切な清掃用具を選ぶことなど、いくつかの注意点があります。
また、定期検診では、インプラントの場合は骨の状態や被せ物の状態など、天然歯とは異なる項目もチェックされます。定期検診を欠かさず受けることで、トラブルを早期に発見し、対処することができます。
インプラントは、適切なケアを行えば、長期間にわたって快適に使用できる優れた治療法です。天然歯とインプラントの違いを理解し、それぞれに適したケアを実践することで、健康な口腔環境を維持しましょう。
当院では、インプラントのメンテナンス方法について、患者様一人ひとりに合わせた指導を行っております。インプラントのケアについてご不安な点やご質問がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。皆様の大切なインプラントを、長く健康に保つお手伝いをさせていただきます。
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