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子どもの指しゃぶりと歯並びの関係、いつまでにやめさせるべき?
お子様の指しゃぶりについて、「歯並びに影響するのではないか」「いつまでに止めさせるべきか」と心配されている親御様は多いのではないでしょうか。指しゃぶりは、赤ちゃんにとって自然な行動であり、安心感を得るための大切な手段です。
しかし、長期間続くと、歯並びや顎の発育に影響を与える可能性があります。本記事では、指しゃぶりが歯並びに与える影響、やめさせるべき時期の目安、そして無理なくやめさせるための方法について詳しく解説いたします。お子様の健やかな成長をサポートするための参考にしていただければ幸いです。
目次
- 指しゃぶりはなぜ起こる?その役割
- 指しゃぶりが歯並びに与える影響
- いつまでに指しゃぶりをやめさせるべきか
- 指しゃぶりを無理なくやめさせる方法
- やめさせる際の注意点
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
1. 指しゃぶりはなぜ起こる?その役割

まず、指しゃぶりがなぜ起こるのか、その意味を理解しましょう。
指しゃぶりは自然な行動
指しゃぶりは、実は胎児の頃から始まっています。超音波検査で、お母さんのお腹の中で指をしゃぶっている赤ちゃんの姿が確認されることもあります。
生まれてからも、多くの赤ちゃんが指しゃぶりをします。これは異常な行動ではなく、発達の一部として自然なことです。
指しゃぶりの役割
安心感を得る 指しゃぶりは、赤ちゃんにとって心を落ち着かせる効果があります。不安なとき、眠いとき、退屈なときなどに、自分を安心させるための手段として指をしゃぶります。
例えるなら、大人がストレスを感じたときに深呼吸をしたり、お気に入りの音楽を聴いたりするのと同じように、赤ちゃんにとっての「セルフケア」なのです。
吸啜反射の表れ 赤ちゃんには、口に触れたものを吸う「吸啜反射」が備わっています。これは、母乳やミルクを飲むために必要な本能的な反射です。指しゃぶりは、この反射の表れでもあります。
口の発達を促す 指しゃぶりを通じて、口や舌の動きを練習し、感覚を発達させています。これは、後の食事や発音の発達にもつながります。
指しゃぶりをする子どもの割合
統計によると、1歳頃では約60~80%の子どもが指しゃぶりをすると言われています。2歳頃になると約30~40%に減少し、3歳では約15~30%、4歳では約10%程度になります。
つまり、多くの子どもは、自然に指しゃぶりをやめていきます。
2. 指しゃぶりが歯並びに与える影響

指しゃぶりが長期間続くと、歯並びや顎の発育にどのような影響があるのでしょうか。
影響が出始める時期
乳歯の時期(3歳頃まで) この時期の指しゃぶりは、あまり心配する必要がないとされています。乳歯は永久歯に比べて動きやすく、指しゃぶりをやめれば自然に元に戻ることが多いためです。
永久歯が生え始める時期(6歳頃以降) 永久歯が生え始める時期になっても指しゃぶりが続いていると、歯並びや顎の形に影響が出る可能性が高まります。
具体的な影響
開咬(かいこう) 上下の前歯が噛み合わず、隙間が開いている状態です。指しゃぶりによる影響で最もよく見られます。
指を口に入れて吸うことで、前歯が内側から外側に押され、上の前歯は前に傾き、下の前歯は内側に傾きます。その結果、奥歯を噛み合わせても、前歯が噛み合わない状態になります。
例えるなら、本を重ねた間に定規を挟んだような状態です。定規(指)があることで、本(歯)が上下で接触できなくなります。
上顎前突(出っ歯) 上の前歯が前に突き出る状態です。指で前歯を内側から押し続けることで、歯が前方に傾きます。
交叉咬合(こうさこうごう) 奥歯の噛み合わせが横にずれる状態です。指しゃぶりの際に、頬の筋肉が内側に引っ張られることで、上顎の成長が抑制され、奥歯の噛み合わせに影響が出ることがあります。
顎の形態への影響 長期間の指しゃぶりにより、上顎の形が狭くなり、V字型になることがあります。正常な上顎はU字型をしていますが、指しゃぶりによる圧力で変形してしまうのです。
発音への影響
開咬があると、舌が前歯の隙間から出やすくなり、サ行やタ行の発音が不明瞭になることがあります。これは「舌足らず」な発音と表現されることもあります。
口呼吸への影響
指しゃぶりをしている間、鼻呼吸ができないため、口呼吸の習慣がつくことがあります。口呼吸は、虫歯や歯周病のリスクを高めるだけでなく、風邪をひきやすくなるなど、全身の健康にも影響します。
影響の程度を左右する要因
指しゃぶりの影響の程度は、以下の要因によって異なります。
指しゃぶりの頻度 1日に数回程度なのか、常にしているのかによって、影響の大きさが変わります。
吸う力の強さ 強く吸う子どもの方が、歯や顎への影響が大きくなります。
継続期間 長期間続くほど、影響は大きくなります。
しゃぶる指の位置 親指をしゃぶる子どもが最も多いですが、どの指をしゃぶるか、どの位置に指を置くかによっても、影響の出方が異なります。
3. いつまでに指しゃぶりをやめさせるべきか

では、指しゃぶりはいつまでにやめさせるべきなのでしょうか。
年齢別の考え方
0~1歳頃 この時期の指しゃぶりは、まったく心配する必要はありません。むしろ、赤ちゃんの発達にとって自然で必要な行動です。無理にやめさせようとする必要はありません。
2~3歳頃 多くの子どもは、この頃から徐々に指しゃぶりの頻度が減っていきます。日中の活動が増え、遊びに夢中になることで、自然と指しゃぶりが減少します。
ただし、まだ無理にやめさせる必要はありません。「そろそろやめられるといいね」と、優しく意識づけを始める程度で十分です。
4~5歳頃 この時期が、指しゃぶりをやめさせることを本格的に考え始める目安です。
理由は以下の通りです。
- 永久歯が生え始める準備期間に入る
- 言葉でのコミュニケーションが十分にできるようになり、指しゃぶり以外の方法で安心感を得られるようになる
- 幼稚園や保育園などで、周りの子どもが指しゃぶりをしていないことに気づき始める
6歳以降 6歳頃から永久歯が生え始めます。この時期になっても指しゃぶりが続いている場合は、歯並びへの影響が出る可能性が高まるため、積極的な対策が推奨されます。
目標とする時期
理想的には4~5歳頃まで 幼稚園年中~年長の時期に、指しゃぶりを卒業できることが理想的です。
遅くとも永久歯が生える前まで 6歳頃から前歯が生え変わり始めます。この時期までにやめることができれば、歯並びへの影響を最小限に抑えられます。
焦りすぎないことも大切
ただし、個人差が大きいことも理解しておきましょう。発達のペースは子どもによって異なります。
「○歳までに絶対にやめさせなければ」と焦りすぎると、親子ともにストレスになり、かえって逆効果になることもあります。お子様の様子を見ながら、適切なタイミングで対応することが大切です。
4. 指しゃぶりを無理なくやめさせる方法

指しゃぶりを無理なくやめさせるための、具体的な方法をご紹介します。
基本的な考え方
無理強いしない 叱ったり、無理やり指を引き抜いたりすることは逆効果です。お子様のストレスが増し、かえって指しゃぶりが増えることもあります。
段階的に減らす 一度にすべてやめさせようとせず、徐々に減らしていくことが効果的です。
年齢別のアプローチ
2~3歳頃
日中の活動を充実させる 遊びや活動に夢中になれる環境を作りましょう。手を使う遊び(お絵かき、粘土、ブロックなど)は特に効果的です。
スキンシップを増やす 抱っこや添い寝など、身体的な接触を通じて安心感を与えることで、指しゃぶりの必要性が減ります。
4~5歳頃
本人の意識を育てる 「もうお兄さん/お姉さんだから、指しゃぶりは卒業しようね」と、優しく声をかけます。絵本を使って、指しゃぶりをやめることの意義を伝えるのも効果的です。
目標設定と褒める 「今日は1回もしなかったね、すごい!」と、できたことを具体的に褒めます。カレンダーにシールを貼るなど、視覚的に成果が分かる方法も励みになります。
代替行動を提案 指しゃぶりをしたくなったら、「ぬいぐるみを抱っこする」「お母さんの手を握る」など、別の方法で安心感を得られるよう提案します。
6歳以降
歯並びへの影響を説明 年齢に応じて、歯並びへの影響について説明します。ただし、脅すような言い方は避け、「きれいな歯並びを守ろう」という前向きな表現を使います。
歯科医師からの説明 歯科医師から直接説明を受けることで、お子様の意識が変わることもあります。
具体的なテクニック
苦味のあるマニキュア 指に塗る苦味のあるマニキュアがあります。指をしゃぶろうとすると苦味を感じるため、自然と意識するようになります。
ただし、これは補助的な手段として使用し、叱るための道具にならないよう注意が必要です。
手袋や絆創膏 就寝時に薄い手袋をはめたり、絆創膏を貼ったりすることで、物理的に指しゃぶりを防ぎます。
指しゃぶり防止器具 歯科医院で作製できる、口の中に装着する装置もあります。これは物理的に指しゃぶりができなくなるため、効果的ですが、最終手段として考えるべきです。
やめられたときのご褒美
指しゃぶりをやめられた日には、たくさん褒めてあげましょう。「1週間できたら、○○をしようね」というように、お子様と約束するのも効果的です。
ただし、ご褒美は物ではなく、「公園で一緒に遊ぶ」「好きな本を読む」など、親子の時間を過ごすことを中心にすることが推奨されます。
5. やめさせる際の注意点

指しゃぶりをやめさせる際に、気をつけるべき点があります。
叱らない、恥ずかしい思いをさせない
「まだ指をしゃぶっているの?恥ずかしい」「赤ちゃんみたい」といった否定的な言葉は、お子様の自尊心を傷つけます。
また、人前で指摘することも避けましょう。お子様が恥ずかしい思いをすると、かえってストレスが増し、指しゃぶりが増えることもあります。
無理に一度にやめさせない
「今日から絶対にやめなさい」という急激な変化は、お子様にとって大きなストレスです。
まずは「日中だけやめてみよう」「寝る前だけにしよう」というように、段階的に減らしていくことが推奨されます。
ストレスの原因に目を向ける
指しゃぶりが増えたり、一度やめたのに再開したりする場合、何か不安やストレスがある可能性があります。
例えば、弟や妹が生まれた、引っ越しをした、幼稚園で嫌なことがあった、などです。
このような場合は、指しゃぶりをやめさせることよりも、お子様の心のケアを優先しましょう。
一度やめても戻ることがある
指しゃぶりをやめた後、一時的に再開することもあります。これは珍しいことではありません。
再開しても叱らず、「大丈夫だよ、また一緒にがんばろうね」と優しく声をかけることが大切です。
専門家に相談するタイミング
以下のような場合は、歯科医師や小児科医、心理カウンセラーなどの専門家に相談することが推奨されます。
- 6歳を過ぎても頻繁に指しゃぶりをしている
- すでに歯並びへの影響が見られる
- やめさせようとすると激しく抵抗する、情緒不安定になる
- 親御様自身がストレスを感じている
6. よくある質問(Q&A)

Q1:おしゃぶりと指しゃぶり、どちらが歯並びに影響が少ないですか?
どちらも長期間使用すると歯並びに影響しますが、おしゃぶりの方が比較的やめさせやすいとされています。指はいつでもどこでも使えますが、おしゃぶりは物理的に取り上げることができるためです。ただし、おしゃぶりも2~3歳頃までにやめることが推奨されます。どちらを使用する場合も、長期間の使用は避け、適切な時期にやめることが大切です。
Q2:3歳児検診で指しゃぶりを指摘されました。すぐにやめさせるべきですか?
3歳頃であれば、すぐに無理やりやめさせる必要はありません。ただし、そろそろやめる方向で意識し始める時期です。まずは、日中の指しゃぶりを減らすことから始め、遊びやスキンシップを増やすなど、自然にやめられる環境を作りましょう。4~5歳頃までに卒業できることを目標に、焦らず取り組むことが推奨されます。
Q3:夜寝るときだけ指しゃぶりをします。これも影響がありますか?
寝るときだけの指しゃぶりでも、長期間続けば歯並びに影響する可能性があります。ただし、一日中しゃぶっている場合と比べると、影響は少ないと考えられます。まずは日中の指しゃぶりをなくし、最後に就寝時の指しゃぶりをやめるという段階的なアプローチが効果的です。
Q4:すでに前歯に隙間ができています。指しゃぶりをやめれば治りますか?
乳歯の時期であれば、指しゃぶりをやめることで自然に改善することもあります。ただし、永久歯が生えてからの場合や、すでに骨格的な変化が起きている場合は、矯正治療が必要になることもあります。まずは歯科医院で診察を受け、現在の状態と今後の見通しについて相談することをおすすめします。
Q5:上の子は自然にやめたのに、下の子はなかなかやめません。どうしてですか?
子どもの性格や環境によって、指しゃぶりの継続期間は大きく異なります。下のお子様の場合、上の子に比べて親の注目を得る機会が少なく、不安を感じやすいこともあります。また、上の子の真似をしたがる一方で、上の子ができることを自分もできないと感じてストレスになることもあります。焦らず、下のお子様のペースに合わせて、優しくサポートしていくことが大切です。
Q6:指しゃぶりをやめさせようとすると癇癪を起こします。どうすればよいですか?
指しゃぶりは、お子様にとって大切な安心の手段です。それを急に奪われると、不安や怒りを感じるのは自然なことです。無理にやめさせようとせず、まずはお子様が安心できる別の方法を見つけることが優先です。スキンシップを増やす、お気に入りのぬいぐるみを持たせる、一緒に楽しい活動をするなど、指しゃぶり以外で安心できる経験を増やしましょう。それでも難しい場合は、小児科医や心理カウンセラーに相談することも検討してください。
7. まとめ
指しゃぶりは、赤ちゃんにとって自然で大切な行動ですが、長期間続くと歯並びや顎の発育に影響を与える可能性があります。
重要なポイント
- 3歳頃までの指しゃぶりは、あまり心配する必要はない
- 4~5歳頃から、やめる方向で取り組み始めることが推奨される
- 遅くとも、永久歯が生える6歳頃までにやめることが理想的
- 無理強いせず、段階的に減らしていくことが効果的
指しゃぶりの影響
- 開咬(前歯が噛み合わない)
- 上顎前突(出っ歯)
- 交叉咬合(奥歯の噛み合わせのずれ)
- 発音への影響
- 口呼吸の習慣化
やめさせるためのアプローチ
- 日中の活動を充実させる
- スキンシップを増やす
- 本人の意識を育てる
- できたことを褒める
- 代替行動を提案する
- 必要に応じて補助的な道具を使用
やめさせる際の注意点
- 叱らない、恥ずかしい思いをさせない
- 無理に一度にやめさせない
- ストレスの原因に目を向ける
- 専門家に相談するタイミングを逃さない
指しゃぶりは、多くの子どもが経験する行動であり、適切な時期に適切な方法で対応すれば、ほとんどの場合、無理なくやめることができます。
大切なのは、お子様のペースを尊重しながら、優しくサポートすることです。焦りすぎて親子の関係にストレスが生じるよりも、少し時間がかかっても、お子様が安心してやめられる環境を作ることが、長期的には良い結果につながります。
当院では、お子様の歯並びや指しゃぶりに関するご相談も承っております。「いつまでに やめさせるべきか」「すでに歯並びへの影響が出ているか」など、ご心配なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。お子様の健やかな成長を、一緒にサポートさせていただきます。